2015年7月27日月曜日

She is a keeper

「彼女は、キープするべき」

 甥に新たにガールフレンドができた模様。Facebookに写真が載ってました。その女の子は、私が最後に見た女の子ではなかったのですが、なんだか、(前の子と違って)良家の子女って感じ。綺麗できちんとした服装をしていました。今時の若い女の子としては、めずらしい。で、昨夜、夫は姉の家に行き、甥とも話しをした模様。夫の報告によると、彼女は綺麗なだけじゃなく、頭も良く、学校で上位5番くらいの成績らしい。こんなお嬢様を、どこで見つけたのかと不思議なんですが、まあ、甥にとっては、とても良い事だと、私は思います。で、夫も同感だったのか、夫が甥に言った(と私に報告した)のが、今日の一言です。

 で、ここで日本人のあなたは、少々、「なんでKeeperが、「キープするべき」になるんだ?」と腑に落ちない顔をしているんじゃないでしょうか?動詞のKeepは、「とっておく」という意味ですよね。
「SVO」(主語+述語+目的語)が頭に自動的に映る、英文法大得意の日本人の感覚で言うと、この「とっておく」という行為は、「主語」が行なうものだと思いません?でも今日の一言を例にとると、主語の“She"と、目的語の"keeper"は、同一人物です。「自分が自分をとっておく人となる」ってのは、意味が通じません。(因みに、動詞の後ろに"er"をつけると、「~(動詞)する人」という意味になります。)

 この矛盾の(日本人には変に感じる)最大の理由は、「英語の動詞は、「他動詞」と「自動詞」が同じ形である場合があるから」だと思います。「え~、そんな無鉄砲な話し、今まで聞いた事がない!」というあなた、アメリカ人夫を持つ日本人妻の意見を、とくと聞くべくですね。日本語の動詞が、「一方通行」であるのに比べ、英語の動詞は、「相互通行」(って言うんですかね?)である場合が多いからです。日本語は、「自動詞」と「他動詞」を使い分ける傾向があります。しかしですね、英語だと、「どっちでも良いんじゃない?」という(いい加減な)感覚があるのです。(というのは学者説じゃなくて、私の長年のアメリカ生活による経験からの意見。)(というと、素人意見のように聞こえるかもしれませんが、皆さん、学者であれば、主婦よりも頭が良いと思うのは、間違っとりますね。アメリカに長く住んでると、「ネーティブ」の感覚にズーンと近くなるんです。ただ単に「説」だけで話しをしてるんじゃなくて、実際の「例」で物事を考えるんです。どっちが真実かってなもんです。これは、子供の時に言葉を周りから学ぶ感覚と似ていると思います。)(でも、母国語の日本語を忘れると言うのは、私の感覚で言うと、ありえません。どこかでいつも、「日本語と英語を比べている自分」が居るのを、認識します。)

 その証拠として、アメリカ人に日本語を教えてごらんなさい。「自動詞」と「他動詞」の感覚がわからないと言う人、多いですから。元々、彼らの母国語に、「自動詞と他動詞を使い分ける」という習慣が(あんまり)ないんです。(100パーセントとはいいませんが。)

 そんな事を考える事が多い、今日この頃。(ちょっと、ブログが長くなってますが、英語と日本語の違いに興味がある方は、私の独り言の続きをどうぞ。)こういう事に興味を持ち始めたのは、最近じゃないんですが。最初に考え出したのは、私の上司が書いた物を翻訳をしている時でしたね。彼女が書いた物の多くの中には、目的語なしに終ってしまう動詞がいっぱいあったのです。で、これを日本語に訳すと、尻切れトンボのような感じになる。私の日本語翻訳者の感覚で言うと、どうしても「目的語」を付け加えたくなるのです。でも、その答えとなる目的語は、原語の英語にない。とすると、私が勝手にその目的語を、前文から判断して付け加えなきゃいけないわけです。ということは、「何について話しているか」をはっきりさせなければ、日本語では未完成に聞こえる、という事に気付いたんです。

 この理由は、なにか。やっぱり、「自動詞と他動詞」を使い分ける日本語では、日本語訳で他動詞として使われる動詞を、自動詞として、つまり目的語なしに訳す事ができないってことです。

 で、最近良く考えるこの「日本語と英語における自動詞と他動詞の違い」は、いろんな動詞に見られます。けっこう簡単な動詞の方が、その傾向が強いような気がします。例えば、今日の例にある「Keep」。(やっと本題に戻る。)Keepを辞書で引くと:

他動詞:(~を)とっておく、守る

などという意味が出てきます。私の感覚でいうと、「何かを保持する」と言うのが基本的な意味だと思います。 しかし、この「Keep」は、自動詞にもなるんですね。自動詞だと、「とどまる」、「~し続ける」、「(~の状態)でいるという」意味が出てきます。

 ここで「今日の一言」に戻って、本題の「Keeper」です。このKeeperを、自動詞の「とどまる」や、「~の状態でいる」に"er" をつけて、“Keeper"、つまり、「とどまる人」と考えることもできます。でも、どちらかというと、私は、このKeepを「相互通行」のように考えるんです。つまり、「Keepするひと」とも「Keepされる人」ともとれると思うんです。 Keeperってのは、他の語を伴うことがあって、例えば、”Zookeeper"だと、「動物園の動物の世話をする人」という意味です。ということは、この"keep"をする人ってのは、目的語、つまりZoo(動物園)をKeepする人です。Keepする人があくまでもその「行為をする人」であって、その「行為を受ける人」ではありません。同じように、“Housekeeper"というのは、家をKeepする人であって、つまり家の掃除をしたりする人のことです。この場合も、Keeperは、その行為をする人であって、受ける立場ではありません。

 ここで、このシンプルな“Keeper"です。この場合、Keepをする人は誰か。今日の一言の例で言えば、私の甥です。彼のガールフレンドじゃありません。という事は、このKeeper は、行動をする人ではなくて、“Keep"という行為を受ける人です。私が、「Keep」を「相互通行」と考えるのは、こういったわけです。昨夜、夫が“She is a keeper"と言って以来、私はこんな事を、グルグルと考えていたわけです。つまり、甥の立場から言うと、

She is a keeper

ってのは、

She is a girl to keep

って事だと思います。「他の女の子みたいに、知り合ってすぐに別れるんじゃなくて、ずっと付き合ってろ」って意味で、夫が言ったのは確かです。としたら、この場合の「Keep」の行為を取るのは、明らかに甥ですよね。という事で、今回の訳、「彼女は、キープするべき」が生まれたわけです。

 長々と説明してますが、思い切って、私の所見をドバーッとぶちまけます!この「相互通行の英語の動詞」は、Keepだけじゃありません!これはいつか、まとめて書きたいなあと思っていた課題なんですが、こういう動詞、結構いっぱいあるんです。で、最近、この結構ある相互通行の動詞について考えることが多いんです。例えば!

Cook
Bake
Look

なんて動詞も、自動詞、他動詞の両方を演じます!これを論じると切りがないので、詳しくは説明しませんが、日本人の感覚から言うと、「え!」ってな言い方をするんです。「え、それを主語として、この動詞が使えるの?受動態にするべきじゃないの?」ってな言い方を、ネーティブは軽々しく口にするんです!それを夫に問うたことがあって、その時の返事ってのは、「え、今までそんな事、考えた事もなかった」でした。つまり!英語のネーティブ達(少なくともアメリカ人)は、「自動詞と他動詞の違いを考えない」んだと思います。そのことを痛感する今日この頃だという事が言いたいために、こんなに長々と書いてしまいました。読んでくださって、ありがとうございます。


 
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