「礼儀正しくしてくれて、ありがとう」
今日は、お葬式に行ってきました。夫の父方の祖父が亡くなったのです。カトリック教の教会はとても美しく、大きな祭壇が中央にあり、その上にはステンドグラスの窓が、そして横には大きな「聖母マリア」や「キリスト」や、その教会の名前の由来となったのであろうカトリック教の聖人の像がありました。祭壇の上の天井は丸くなっていて、神父さんの声がやたらとエコーがかかって、マイクも使っていないのに、大きくはっきり聞こえました。音響効果は、抜群ですね。大きな教会で、意外に明るく、私としては、息苦しくなかったのが、良かったです。
白いロープを着た神父さんが、水とワインが入ったカップを持ち上げ、「これで罪が償われ、死から解放されました」などと、色々象徴めいたお祈りをしていました。たまに全員起立したり、座ったり、そして膝まづいたりと、決して居眠りなどできません。水かワインかよく分かりませんが、なにやら液体を、前に来た希望者にちょちょいとかけたり(人が前にいたので、実際は何をやっていたのか、よく分かりません)、銀色の壷に入った御香の煙を、棺の上にふらふらと揺らせながら、振りまいたりしていました。やはり、やたらと儀式的なことが多いなあと思いました。
カトリックの葬式は2時間くらいかかると聞いていたのですが、意外と1時間以内で終了し、その後、墓地に向かいました。私はてっきり自分達の車で行くと思っていたので、マフラーを車の中に置いてきてしまったのですが、夫は「ファミリー用の車で行くから」と言い、なんと私と夫と、夫のいとこと彼の母は、葬式会社の黒いリムジンに乗って、墓地まで行きました。それも、私達の車は、棺が入った車のすぐ後ろ。他にもっと近しい人達が後ろにいるのに、嫁の私がこんなに先頭にいていいのかしらね、と思いました。2台ほど、バイクに乗った警官のような人達が、ある時は先頭で誘導し、ある時は他の車を止めたりと、なんだか私達が、VIPにでもなったような雰囲気。あの人達は、本当に警官だったのかしらね~。でも、霊柩車の誘導に、警察が出てくるものですかね?私達が乗ったリムジンは、ずーっとハザードをピッカ、ピッカと出してるし。それが習慣なんでしょうね。
でもってですね、私の夫の祖父は、朝鮮戦争に行った事があるらしく、一度でも軍人をやっていると、ミリタリーの正式のお葬式ができるそうなんです。なので、墓地に行くと、ミリタリーの制服を着た軍人さんが5人ほど、直立不動で、待っていました。この冬空の下、コートも着ずに寒いでしょうにね~と、私は思いました。でも彼らは、ピクリとも動きませんでしたよ。さすが、訓練受けているんですね。ここで、テントの下に棺を置き、その周りに遺族が集まり、神父さんが最後のお祈りをした後、二人の軍人さんが、棺の上にかけてあった、アメリカの星条旗を丁寧に折りたたみました。アメリカで星条旗というのは、随分、ほとんど神格化された存在で、決して粗末に扱ってはいけないものなのです。それで、この旗をたたむのも一つの儀式で、きちんと白い手袋をした男性が両端から作法に則って折っていきます。きちんと「折り方」があるのです。そして三角に折った星条旗は、遺族に手渡されました。その後、少し離れた所で直立不動の軍人さんたちが、一人ずつ、鉄砲を撃ち放しました。こんな感じで、全て終了です。私は棺を地下に埋めるんだと思っていましたが、それは、遺族が帰ってから行なわれるんだそうです。後で夫の母が言っていたのですが、南部では、全て棺の埋葬が行なわれてから、遺族が集まると言い、夫は、ユダヤ教では、遺族の前で棺を埋め、土を被せると言っていました。アメリカでも、地方や宗教によって違うようですね。しかし、自分の目の前で親が埋められるのは、やはり見るに耐えられないものかもしれません。
この後しばらく、親戚に挨拶をし、また教会まで戻って、私の車に乗り、家まで帰りました。その家路に向かう車の中で夫が言ったのが、今日の一言です。
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